
C-SKIN(シースキン)とは、ポリエステルファイバークロスと無溶剤のシリコーン樹脂で構成した当社が製造する合成皮革です。従来の合成皮革にはない耐候性と触感を持ち、本革のようなメンテナンスも不要なため、様々な用途での使用が可能です。
この記事では、C-SKINについて詳しく解説していきます。
目次
・C-SKIN(シースキン)とは?
・人工皮革と合成皮革の違い
・人工皮革
・合成皮革
・C-SKINの特性
・耐候性
・耐摩耗性
・撥水性、防汚性
・耐薬品性
・C-SKINの主な用途例
・まとめ
C-SKIN(シースキン)とは?
1963年に創業した当社は長年、ガラスクロスにふっ素樹脂を塗布する技術を柱の1つとして成長してきました。そして、2004年にこれまでの技術を生かして、シリコーン樹脂を用いた自動車用サイドカーテンエアバッグ事業に参入。ガラス繊維などのガラスクロスにシリコーン樹脂を塗布する技術を蓄積していくとともに、2019年シリコーン樹脂製の合成皮革製品「C-SKIN」の開発・検討に着手しました。 現在、エアバッグ事業は譲渡したものの、シリコーン樹脂の特徴を知り尽くし、長年にわたり培ったシリコーン樹脂の塗工技術はふっ素樹脂に次ぐ、当社技術の柱となっています。
C-SKINは、伸縮性のあるポリエステルファイバークロスを基材としており、布地に特殊な不織布を使用していないため、人工皮革ではなく「合成皮革」になります。表面にはシリコーン樹脂を使用しており、シリコーン樹脂特有のしっとりとしてサラサラ感がある肌触りが特徴です。そのため、その他の合成皮革とは異なり高級感のある皮革です。
人工皮革と合成皮革の違い
「人工皮革」と「合成皮革」はどちらも天然皮革(本革)の代替素材として利用されていますが、それぞれの特徴や違いを正しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?
そこで、「人工皮革」と「合成皮革」の違いについて詳しく解説していきます。
人工皮革
人工皮革とは、布地(特殊な不織布)をベースにした素材の上にポリウレタン樹脂(PU)やポリ塩化ビニル(PVC)をコーティングしたものです。 機能と構造それぞれを人工的に本革に似せて再現しており、風合いや質感も似せているため、触った感触も本革に近いのが特徴です。 通気性や柔軟性、耐水性に優れるものが多く、靴やバッグ、高級家具などに多く使用されています。
合成皮革
合成皮革とは、ベースとなる布地にナイロンやポリエステル生地などを使用し、その上からポリウレタン樹脂(PU)などの樹脂層をコーティングして型押しをすることで、本革に似せています。 ベースとなる布地には編み物や織物をベースとしたものが多いため、耐水性や耐久性があまりないものが多いですが、フィット感があり、人工皮革よりもグリップ性に優れることが特徴です。 比較的安価に製造できるため、衣類や車の内装、安価なバッグなどに多く使用されています。
このように、人工皮革と合成皮革の違いはベースとなる裏生地の違いになります。
C-SKINの特性
C-SKINの表面に塗布している「シリコーン樹脂」は、一般的な合成皮革で使用されているポリウレタン樹脂(PU)やポリ塩化ビニル(PVC)と比べて、耐候性、耐摩耗性、撥水性、防汚性、耐薬品性に優れています。シリコーンはベタベタしている印象がありますが、C-SKINの表面はサラサラな触り心地です。これらの特性と高級感が求められる市場への採用に備えて、C-SKINは自動車内装材用燃焼試験(FMVSS No.302)に合格しています。 また、無溶剤シリコーン樹脂を使用しているため、環境にやさしいのも特徴の1つです。
耐候性
ポリウレタン樹脂(PU)やポリ塩化ビニル(PVC)は空気中の水分や熱、紫外線、手の皮脂などが付着することで劣化し、時間経過とともに少しずつ表面が分解され、脆くなってしまいます。 また、本革も紫外線を吸収することで、変色、硬化が著しい材料ですが、「シリコーン樹脂」は耐候性が高いため、C-SKINは紫外線の影響は小さく、耐寒性や耐熱性も備わっています。そのため、自然環境に左右されずに屋外での利用が可能です。
耐摩耗性
スラスト摩耗試験を行ったところ、本革が3年老化後の摩耗量が4.60mgだったのに対して、C-SKINは0.25mgと非常に摩耗しにくい結果となりました。
撥水性、防汚性
シリコーン樹脂は、表面張力が低く撥水性があり防汚性が高いため、ある程度の汚れは水拭きで除去することができます。社内試験では、C-SKINの表面を油性マジックで汚しても、布に油分を含んだハンドクリームを少量付け、ふき取ることで除去できることが確認できました。一般的な合成皮革は油分クリームもシミの原因となりますので、C-SKINの強みと捉えています。
耐薬品性
シリコーン樹脂はアルコールや薬品に強く、他の合成皮革では使用できない場所でもC-SKINは使用が可能なため、消毒や洗浄を繰り返す手術台の表皮材にも使用が見込まれます。
C-SKINの主な用途例
C-SKINはシリコーン樹脂の表面に特殊な加工を施すことで、他の合成皮革にはない肌触りのよさを実現した製品です。一般的なものと比べて高級な合成皮革であるため、下記の用途への採用が見込まれます。
●家具
ソファー、椅子
【発揮される特性】
●自動車
車載用のトリム、シート
【発揮される特性】
●屋外向けシート
【発揮される特性】
●その他
財布、バッグ
まとめ
いかがでしたでしょうか? C-SKINは、一般的な合成皮革とは異なる特徴を持つシリコーン製合成皮革です。 現在、C-SKINの色相ラインナップは黒色と白色の2種類のみになります。 需要に応じてその他の色相追加やシリコーン製合成皮革の仕様拡充(梨地、シボ、マット調など)を検討し、さらなる販路開拓を進めていきたいと考えております。
一度手に取っていただけたら一般的な合成皮革との違いがわかる製品となっておりますので、合成皮革を検討する際は、お気軽にお問い合わせください。
▼C-SKINの製品詳細・規格は下記をご覧ください。
https://www.chukoh.com/products/fabric/c-skin/
<参考文献> 不織布情報2025年3月号